昨夜は十五夜、今宵は満月。
動物ではウサギが主役な夜ですが、わたくしめからはおネコが率いる美術展をご紹介させてください!
恵比寿の山種美術館で開催中の「竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス」。
日本画の動物たちを集めた企画展です。

企画名に「アニマルパラダイス」って入ってるー!山種美術館って真面目な日本画の美術館だと思ってたのに…、これは絶対ヤバい楽しいやつだよ!と妹と盛り上がり、「竹内栖鳳の重文観られますぜ」とよくわからない誘い文句で父を誑かして車を出してもらって先日行ってきたのです。
動物大好き日本画家(と我らは勝手に呼んでいる)竹内栖鳳の「班猫」(上記の写真 図録の表紙の絵です。沼津の漁港のおネコだそうな。目がカッコいい…)をはじめ、犬ネコ兎ネズミ牛カエル馬ロバ⁈いろんな鳥たち…などなど、企画名に恥じぬアニマルパラダイスが広がっておりました。
日本画っていうと、輪郭線がしっかりしてるもののイメージが強いですが、表紙のおネコのようなモフモフした動物描写すごく好きなのです。
菱田春草とか横山大観がチャレンジして生まれた表現で、当時はこんな描き方日本画じゃない!って揶揄する意味を込めて「朦朧体」って呼ばれたそうなんだけど、よくぞ開発してくださった!と拝みたくなるモフモフ感ですよ、これは。ありがてぇありがてぇ🙏
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色んな日本画家の動物モチーフの作品を一度に観られる魅力はもちろんのこと、今回面白かったのが、所々に置かれた作家のコメントパネル。
作家の動物を描くことへの思いや向き合い方が掲載されてた。
たとえば、奥村土牛(「醍醐の桜」で有名なおじいちゃん)が、「動物描くのに難しいの何処?って聞かれるけど、どこも大変。でも、よく観察してしっかりじっくり向き合って愛でて描くとよいのよ(うろ覚え超訳)」とか愛しかないコメント残してたり、描き手の動物好きっぷりが伺えてたまらなかった。
色んな書籍や記事をきっとたくさん集めて吟味されたキュレーターさん達すごいなぁと感激した次第です。

あとグッズも素敵なものが多かったです。
私のお気に入りは、墨の濃淡で描かれた夜の森のミミズク(横山大観)のクリアファイル。眼に使われた金泥が印象的だったのですが、素敵に再現されてて嬉しかった。
最後は余談ですけども、動物園行った日は焼肉屋さん行けないけど水族館行った日はお寿司食べたくなる!って不思議あるじゃないですか。
で、絵を見て美味しそう!って声出たお魚作品2つが和菓子になって売られてた🤤みんな思うことは同じなんだなーと通じ合った気がした瞬間(笑)




お魚2つと、小林古径さんの美しい夜鴨をモチーフにしたお月見にあいそうなものを母へのお土産にしたのでした。
動物好きな方、日本画難しいって印象の方にぜひ行ってみてほしい企画展!
おススメです〜
(最後に、超余談です。小林古径の描いた悟ったようなご尊顔のおネコの絵、キャプションがロッキンオンジャパンみたいな壮大な文章だったからぜひ読んでみてほしい!ぶふぉー!ってなった!あと、引越しに駆り出されて重い車引かされて「こんなん無理ですわ」って顔してるロバの屏風も色々アテレコしながら見ると楽しいよ!)
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◉竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス
山種美術館
https://www.yamatane-museum.jp/
会期: 2020/11/15まで
※ちなみに着物割引(200円引)がありますせ!
涼しくなってきたし、着物で行くのおススメです。



我らは動物合わせで着てみた(妹は鹿狩りの帯、わたしは麒麟の小千谷縮に九谷シールの文鳥ブローチを帯留にしてみた)。久々におしゃれしたの楽しかった。
本展のみどころ
1. 重要文化財・竹内栖鳳《班猫》を約4年ぶりに公開!
2. 動物画の名手が勢ぞろい!
3. 魅力あふれる動物たち
4. ローマ教皇に献納される《西教伝来絵巻》試作を特別公開
主な出品作品:
竹内栖鳳《班猫》【重要文化財】、 《みゝづく》、 《蛙と蜻蛉》、 《鴨雛》、 《憩える車》柴田是真《墨林筆哥》、 西村五雲《白熊》、 西山翠嶂《狗子》、 小村大雲《東へ》、 小林古径《猫》、 橋本関雪《霜の朝》、 奥村土牛《兎》、 小茂田青樹《雛》、 速水御舟《昆虫二題》、 山口華楊《生》、 竹内浩一《猿図》、 守屋多々志《西教伝来絵巻》試作◆ ほか 約60点

コンテンツディレクション、文筆。工芸、古典芸能など暮らしや日本文化に関することを中心に、講座やイベントの企画・ディレクション、取材・執筆をしています。和樂web(小学館)、サントリー、中川政七商店、NewsPicks NewSchoolなどでお仕事中。夜の散歩、のんびり美術鑑賞、お茶の時間、動物が好き。