昨日は、母と妹と文楽を観てきました。
演目は、五条橋、新版歌祭文(野崎村の段)、一谷嫩軍記(熊谷桜の段/熊谷陣屋の段)。
みっつのうちふたつの演目で、我が子を思う母の愛が描かれていて、「母の日」に観るとちょうどいい?!なんて感じ入ってみたり。
(横にいた妹に「心中と母子愛は、文楽あるあるだよ」と冷静なツッコミを受け、「そりゃそうだ・・」と我に返った姉でありました。
物事って意識の向け方で見え方が変わりますね〜ということで、ここは一つ…。)
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5月の講演は、人形遣い 二代目吉田玉男さんの襲名公演でもあり、襲名披露の口上も観ることができました。
ご本人が言葉を述べてご挨拶をされるものと思っていた口上。
ご自身は一言も発さずに、他の方がご挨拶されている間中、丁寧に礼をされているのが印象的でした。
舞台上で言葉を発さないのは、人形遣いの方ならではなのでしょうか。
とても静かながら美しいお姿でした。
入り口にはたくさんのお祝いが並んでいました。
そんな今回の席は最前列まんなか!
「首が痛くなりそう・・」と、これまで一列目は避けていたので、初体験でした。首はちょっと辛かったですが、いつもより間近で人形の衣装や道具の精巧さ、人形遣いの方々の技が観られて新たな感動がありました。
遠目に見ていると、人形と人形遣いの方って一体にしか見えないので、気に止めることなく人形の演劇としてすんなり観ている文楽。
注意して手元を観ていると、実はすごい細かい動きや数々の強弱で1つ1つの所作を生んでいることがわかります。
器用に刀や小道具を扱ったりダイナミックな動きをしたり、様々なことがされているのですがそれが1つの命になっている不思議。
足はこんなに全身運動で動かしているんだぁ!とか、目の動きや指のそり具合の変化が色んなメッセージを発していたり。
動かずじっとしている時でさえ人形が演技しているように見えるのは本当にすごい。
劇中のお気に入りのシーンは、娘が料理したり(本物の大根切ってた!指を切ったら袖から油を出したような動きをして軟膏を塗って見えた!)、念入りにメイクをするシーン(髪を結っているリボンまではずして櫛で梳かす&おしろいの塗り方がすごい念入り!)と、船頭さんがやたら丁寧に身体を拭いている姿(船が進まない!!)でした。
どちらも本筋に大きく影響しない所なのですが、そんなに細かくやるか!とツッコみたくなるユーモア溢れる動きと、そのすごい技に魅入りました。
文楽って筋書きはわかっているのに、人形が演じているのに、何度観ても泣けてしまう。
この感動って、太夫の表情豊かな声と三味線と人形遣いの技が何層にも折り重なって作られているんだなぁというのを(特に視覚的な所から)実感出来る時間でした。
ライブで観るってやっぱり良いですね!
母の日記念(?)に母と1枚。
大満足の帰り道でした。

コンテンツディレクション、文筆。工芸、古典芸能など暮らしや日本文化に関することを中心に、講座やイベントの企画・ディレクション、取材・執筆をしています。和樂web(小学館)、サントリー、中川政七商店、NewsPicks NewSchoolなどでお仕事中。夜の散歩、のんびり美術鑑賞、お茶の時間、動物が好き。