ゆるゆると通っているお茶のお稽古。
(「茶道やってます(キリリッ)」って雰囲気が苦手なので、「お茶のお稽古」と呼んでいます)
1年のはじめに先生のお宅で行われるお茶事「初釜」の席に今年も伺ってきました。
心遣いに感じ入ったり、美味しいものを味わったり、美しいものに心動かされたり、五感で愉しめるお茶の時間。昔のいわれを学べたり、「日本のお正月」を体験できるひとときでもあります。
門をくぐるだけで始まる非日常空間は、日々のあれこれをいったん忘れて心静かに場を愉しむことに専念させてくれます。
玄関のしつらえ。
こちらは、茶室に入る前に身を清める「つくばい」。
今年は先生のご親戚もいらしていて、小さなお嬢さんも一緒にお茶室に入りました。
茶室には、つぼみの椿を生けます。
半升のお米が入った器の上に、いつもお世話になっている炭を乗せ、橙を飾ります。
この飾り方は「代々繁盛(橙=だいだい 半升=はんじょう)」と掛けたものなのだそう。
橙から伸びた3枚の葉が烏帽子のようで三番叟のお猿に見えた。なんだか可愛らしい。
静かな一室で、炭で煮えたお湯の音に耳をかたむけて待ちます。
お茶の前に戴くお菓子。初釜では「花びら餅」が振る舞われます。
お雑煮に模した白みそ餡、鮎(平安時代の「歯固め=長寿の祝い」で使われる)に模したごぼうを牛皮で包んだお菓子です。
お濃茶を練ってくださる先生。
お濃茶は、熱湯で抹茶を練ってトロトロにしたもの。正客をはじめ皆で1つの椀からご相伴します。
お抹茶の甘みを堪能できる贅沢な一口です。
続いてこちらは、お干菓子。
おめでたいモチーフで作られた可愛い姿が目にも美味しい。
薄茶(お薄=抹茶を点てたもの。喫茶店などでも出てきたり、身近なお抹茶の飲み方。)の前に戴きます。
お茶碗には三猿の姿が!
広間には、鶴亀の掛け物。
柚子の中には、たっぷりのふぐの皮。(先生の故郷のある呉から毎年取り寄せてくださるのです)
お茶事は、心尽くしのもてなしの場。
心地よい空間で美味しいお茶と食事をいただいて語らい合う時間です。
お茶の席で自然な姿でするりと為される様々な心遣い。先生や先輩方のその姿は本当に美しくて勉強になります。
自然体でそっと人を思いやれる人に私もなりたいな。お稽古がんばろう。
前日のさそうでの新年会に引き続き、幸せな時間を過ごしてきました。
※お茶室の中は通常撮影ができない事が多いのですが(自分の気持ち的にもマナーとしても)、内々の社中の会では記録係を承って今回も撮影させて頂きました。
ブログの写真を通してお茶の美味しい愉しいところが少しでも伝わったら嬉しいです。
今年は、大叔母から譲り受けた御召を着させてもらいました。
帯は祖母から母へ贈られたものを拝借。
そして草履も母が掘り出してきてくれたバラの草履。
見た時にはそのマダム感に少し圧倒されましたが、合わせてみると意外にしっくり。(母さすがです・・・)
これぞ、和装マジック!!
そんなわけで、今年も嬉しい嬉しいお正月でした!

コンテンツディレクション、文筆。工芸、古典芸能など暮らしや日本文化に関することを中心に、講座やイベントの企画・ディレクション、取材・執筆をしています。和樂web(小学館)、サントリー、中川政七商店、NewsPicks NewSchoolなどでお仕事中。夜の散歩、のんびり美術鑑賞、お茶の時間、動物が好き。