先週末、厳島神社の観月能に行ってきました。
宮島の夕暮れ。
神さまからの贈り物か、雲も吹き飛び、綺麗な月夜となりました。
海に浮かぶ厳島神社の能舞台で月夜に催される能楽「観月能」。
20周年を迎える今年の演目は「羽衣」と「高砂」という、美しくおめでたいもの。
いずれも重要無形文化財保持者(人間国宝)の能楽師友枝昭世さんがシテ(能楽の主役)を務められての贅沢な上演でした。
(参考)
「羽衣」
http://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_011.html
「高砂」
http://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_015.html
夜の厳島神社。神社内から臨む大鳥居。
力強い昼間の風景とはまた異なる幻想的な眺めです。
こちらが海に浮かぶ能舞台。(一昨年に訪れたときの写真)
水面の揺らぎが天井にキラキラと反射する様子もとても美しいのです。
厳島神社の廊下部分にイスを並べた席と、海の上に特設された(!)桟敷席から鑑賞する事が出来ます。
羽衣の様子。写真は中国新聞社さんからお借りしました。
厳島神社での観月能は、海に浮かぶ能舞台で演じられるため、潮の満ち引きや海の音と能楽が融合しながら展開されるなんとも幻想的な世界が魅力です。
神さまの気配を感じるような・・・。
一昨年に始めて訪れたときは、雨の中での上演だったのですが、雨までが舞台の一部のような、笛や太鼓の音と雨音が一体となった舞台でした。
美しい衣装をまとい面をつけて舞う友枝さんの姿には息を飲みます。
美しさだけでなく、神聖さが感じられて夢の中にいるような気持ちになっている間に終わってしまう。そんな不思議な時間です。
(いつも、能楽鑑賞のあとは感想がうまく言葉で表現できない・・。美しいものに触れて心が満たされたときの幸福感が訪れるような機会です。)
夢見心地での帰り道。
十四夜のお月様が綺麗に浮かんでいました。
今回は、おめでたい演目に合わせて小槌柄の紬を着てみました。
夏が終わって袷の季節。着物でお出かけに良い季節が始まりましたね。
昨日の上演の様子が夢だったかのような朝。
帰りがけに会った鹿ファミリー。宮島の鹿は穏やかです。

コンテンツディレクション、文筆。工芸、古典芸能など暮らしや日本文化に関することを中心に、講座やイベントの企画・ディレクション、取材・執筆をしています。和樂web(小学館)、サントリー、中川政七商店、NewsPicks NewSchoolなどでお仕事中。夜の散歩、のんびり美術鑑賞、お茶の時間、動物が好き。