先日の厳島神社での観月能の帰り道、広島県立美術館で開催中の東山魁夷展を訪れました。
東山魁夷展 -自然と人、そして町
http://www.hpam.jp/special/index.php?mode=detail&id=161
お目当ては、特別展示されている唐招提寺御影堂の障壁画。
(写真は広島県立美術館より)
鑑真和尚に献げたこの障壁画は、普段は非公開となっていてなかなか目に出来ないもの。
このタイミングで公開されているのも何かのご縁!と観に行く事に。
見た直後、飛び乗った新幹線の中でinstagramにあげた自分のコメントが興奮した気持ちそのままだったので、感想として残しておきます。(唾が飛んで来そうな勢い・・笑)
いやはや凄かった!行って良かった!!
襖なのを忘れて奥行きを感じてしまう大迫力の景色。
モダンで抽象的にデザインされているのにものすごい臨場感で迫ってくる海、雲の上から眺めているような幻想的な森(山)。
そして本当に青が美しくて。
迫ってくるようなダイナミックさなのに不思議と騒がしくないというか、ずっとその場で眺めていたいような吸い込まれる世界だった。
なんというか、とにかくめちゃめちゃ気持ち良い!
魁夷といえば白馬と静謐な世界を描く人というイメージだったのだけれど、こんな力強くスケールの大きい世界を描く人だったんだ!と作品を目の当たりにして衝撃を受けました。
図録も買ってしまった。
展示は、初期作品から晩年の作品まで、障壁画以外にもかなり充実した数の作品を鑑賞する事が出来ました。
どの作品も幻想的なのに臨場感があって、抽象的にデザイン化されているんだけれど、微細な表現がされていて、青々とした風景からは木々の湿度や香りがしそうだったり、雪の降る風景からは冷たい空気まで感じられたり、光の美しさや吸い込まれるような奥行きを感じる立体感があって、すごく魅入ってしまう。
輪郭線がついているようなモダンな作品でも、その風景をリアルに感じられるのもすごく不思議でした。
はがきやカレンダーなど、普段から印刷で目にすることも多い魁夷作品。
もちろん印刷物でも充分に美しくって(図録も買ってしまったくらい!)、それもすごいところなのだけれど、本物の美しさや迫力がどれだけすごいかを体感する機会になりました。
本物を見てしまうと、光の美しさや立体感が物足りなく感じると言うか、もっと美しかった!こんなもんじゃない!!と思えてしまう。
生身の作品を見る価値を実感する、圧倒される見応えある展覧会でした。
東山魁夷展 -自然と人、そして町
広島県立美術館にて開催中
会期:2016年9月17日(土) ~2016年10月30日(日)
http://www.hpam.jp/special/index.php?mode=detail&id=161
清澄で深い情感をたたえた風景画で知られる東山魁夷(1908‒1999)。本展では、画業の変遷を代表作でたどるとともに、東山芸術の記念碑的大作「唐招提寺障壁画」全68面を特別展示。戦後を代表する日本画家であり、国民的画家と謳われた東山魁夷の画業の神髄を紹介します。(広島県立美術館サイトより引用)

コンテンツディレクション、文筆。工芸、古典芸能など暮らしや日本文化に関することを中心に、講座やイベントの企画・ディレクション、取材・執筆をしています。和樂web(小学館)、サントリー、中川政七商店、NewsPicks NewSchoolなどでお仕事中。夜の散歩、のんびり美術鑑賞、お茶の時間、動物が好き。