クラシノキカク

「杉本文楽 曾根崎心中」を観てきました


今日は、杉本文楽 曾根崎心中を観てきました!

パリやマドリードなどヨーロッパ公演でも話題になったあの杉本文楽の東京公演ですっ!(興奮)
※詳しくは⇒「
杉本文楽 曾根崎心中

 

実は、学生時代に近松の授業で原文の曾根崎心中を読んだことがありました。
不真面目な学生だったのでその授業の内容はあまり覚えていないのですが(なんてもったいない!)、
それでも、リズムや音の心地よさが印象的だったことを覚えています。

冒頭の「観音廻り」が特に印象に残っていました。

今日初めて知ったのですが、
この「観音廻り」は、演出の都合で現代では省略されることが多いのだとか。

今回の上演では、近松の原文を原典として使用していて、この「観音廻り」も復活していました。

ジミヘンドリックス風(!)の三味線ソロを人間国宝の鶴澤清治さんが演奏して幕開け、
そしてアニメーションとともに幻想的な世界を織り成す人形の美しい姿に目を奪われる冒頭がまさにこの部分でした。

※写真は、公式サイトよりお借りしました。

奇抜なだけの今様演出でも、古典に忠実なマジメ~な上演でもない。
そのバランスと演者の方々の素晴らしさに心奪われる時間でした。
(桐竹勘十郎さんが操るヒロイン「お初」のなんと色っぽいこと!)

心地よい音と声、命を吹き込まれた人形の姿にグーっと引き込まれました。
そして最後の心中シーンでは、本当に胸がつまるのです。

美しく哀しい物語。
なんともいえない感動の余韻が終演後も続きます。

興奮冷めやらぬまま読んだ、杉本氏のこちらのインタビューが興味深かったです。
「仕掛け人の現代美術作家・杉本博司が語る、現代的『曾根崎心中』の楽しみ方」(日経ビジネス)

「現代的な演出でありながら、『古風を装う』」
という言葉が印象的でした。

着物についてお話させていただく機会を頂く中でも思うのですが、

単に昔の価値観や感性を冷凍保存しておいたものを今解凍してそのまま味わおうとしても
感覚がそもそも違うから美味しく感じられなくって、
素晴らしい食材をいかに今様に味わうかを考える事が重要だなと思います。
食材が素晴らしいなら、料理の仕方が通り一遍じゃもったいないなぁって。
(って、何の話やという表現で恐縮ですが。。)

どうナビゲートして、魅力に気付くお手伝いをするかが重要だと思うのです。

とても素晴らしいものだから、知らないなんてもったいない!と、
今日魅了された自分を振り返っても思います。

実は先日、
スーパー歌舞伎」にも連れて行っていただく機会があったのですが
(道楽者めが!と罵倒されそうですが・・・たまたま嬉しい予定が重なっただけですっ!!)
その時にも古典として何にも代え難い素晴らしいものと、
現代ならではの魅力が合わさった世界が非常に魅力的で夢中になりました。

伝統的なものって、難しそうでハードルが高そうで(敷居を感じる)・・・。
入り口が見つけにくく感じることが多いですが、
こうやって身近なとっかかりになるような
素敵なきっかけがあるとその世界に素直に入っていけますね。

今年は日本文化の勉強をしたい!というのを1つテーマとして持っているのですが、
有り難いことに運良くご縁を頂けて、愉しく学ぶ機会を頂けております。

せめてもの恩返しに、何かシェアしていけたらいいなぁと思います。

<関連記事>
こちらで少し動画も観られました。
命のない木の人形に日本人の魂を吹き込む 「杉本文楽」という新しい伝統

 

余談ですが、こういうお出かけの時は装いを考えるのも愉しいもの。

今日は文楽ということで、
喝食の面(能面なので文楽ではないのですが人形つながりで。)の帯留めをつけました。
空色の御召と印華文様風の帯で春らしく。

同じ古典芸能でも、歌舞伎や寄席、能楽など種類によって観客の装いの雰囲気も異なります。
観客の着物姿の違いを見るもの愉しく、勉強になります。

着るとこんな感じでした。
素敵な上演に満面の笑顔でした~




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