もののあはれを纏う


暦の上ではとうに秋。
でも、まだまだ毎日暑いですね。

終わりゆく夏を惜しみながら夏物を着ている今日この頃です。

真夏の着物。
「薄物」と呼ばれる生地は透け感があって目にも涼やか。
「着ていてすごく涼しい!」ということはもちろんないのだけれど、
紐で締めているおかげで暑さや汗を感じにくい。
そして、脱ぐ瞬間のえも言われぬ解放感がたまらない(笑)
何をしていても暑い夏、こういう愉しみがあってもいいなぁと思うのです。

 

先日、染織研究家で随筆家の
木村孝さんのお話を伺う機会に恵まれました。

木村孝さんは、御歳94歳にして今なお現役。
ご自身の研究に、執筆にTVや講演への出演と毎日ご活躍の方。
スーっと伸びてシャキッとした立ち姿。軽やかではっきりとしていてわかりやすいお話し。
すごく初歩的な質問にも、にこやかに詳しく、そして発展して地域の職人さんの考えにまで話が及んで教えてくださったり。
時には「ほら、あたくし年寄りでございますからね・・・」なんて冗談を交えながら、とてもチャーミングで、ほんとうに素敵な方でした。

こんなふうにしなやかに年齢を重ねながら、人生を味わい続けられる人でありたいと憧れている方です。

お話のテーマは「盛夏の着物の愉しみ方」だったのですが、
特に印象的だったのは、ふとお話が横道にそれた時にちらりとおっしゃっていた柄についてのことば。

(「話が横道にそれることはとても良いこと!」という木村さんの言葉も印象的でした。知らないことって質問にすら出来ないけれど、そこが重要だったりすることってありますよね。スティーブジョブズ氏の「人々が想像もしなかったものを商品にする」という考えを思い出しました。)

それは、この記事のタイトルにもしている「もののあはれを纏う(まとう)」というお話。

着物の柄は、季節を先取りして纏うのですが、
例えば、夏なら秋草のモチーフが6月の終わりから10月頃まで。

秋草は、風にそよぐ草、野にあう草、しなやかで「あはれ」を誘う草であると木村さんはおっしゃいます。

日本の秋の原風景を夏に纏うのですね。

うつろいゆくもの、消えてしまうものに美しさを見出す、「もののあはれがあるもの」をめでる。
四季のある日本ならではの美学がここに表れているという言葉が心に残っています。

そんな風に大きなスケールで考えたことはなかったですが、四季があることで、日々の変化、時のうつろいを身体で感じて味わえる機会にすごく恵まれている場所で暮らしているわたしたち。

日々を味わいながら愉しく暮らすこと。

着物だけではなく、普段の暮らしの色々な面で共通することですね。

毎日の小さな変化に敏感でありたい。
毎日を大切に味わいながら暮らしていきたい、そう思います。

・・・・・・・

話を戻しまして。

夏着物は、機能性としての「涼しさ」と同時に、見る側にも「目に涼しい」ところがすごく素敵だなぁと思います。
冒頭に書いた、素材としての見た目のほか、涼やかな秋を先取りした柄の愉しみも。

機能性からの涼しさとしては、蒸し暑い気候を快適に過ごす織りや素材の工夫がなされています。
うっかり油断して羽織る物を忘れると、エアコンの効いた電車内で寒くて凍えたりするくらい。
(ま、着て歩いていると洋服と同じで暑いのですけれども。。)

こちらは、小千谷縮(おぢやちじみ)という織り。
表面に凹凸が出来るように織られているため、肌への接触面が少なくサラっとした着心地。
ちらりと袖から見えている白い長襦袢は綿レース。涼しいだけでなく、洗濯機で洗えます

 

 

羅(ら)という織りの帯。
ざっくりとしたレースのようで通気性が良い。とても軽いので締めている気がしない不思議な帯です。
見た目にも涼しい。

 

 

 

 

 

今年の夏は、浴衣をご紹介する機会をたくさん頂くことができました。
お声がけくださったみなさま、ご参加くださったりお問い合わせくださったお客様、ありがとうございました。


浴衣だけでなく、着物ならではの面白みや着物を通して改めて気付く日本の魅力や暮らしの愉しみって色々あると思うのです。
日常の着物は、実はそれほどハードルは高くないもの。
私が日々ちょっとずつ実感していることをご紹介することで、着物の心地よさや着物を通して暮らしの愉しみや自分の魅力を再発見する機会が作っていけたら・・・。

来年は、夏着物についても、ご紹介する企画をもっと作れる人になれるよう精進したいと思います!

 

小俣荘子(omata shoko)
クラシノキカク 代表 / ディレクター・コラムニスト・施術家
衣食住にまつわるコンテンツの企画・ディレクション。頭蓋矯正と深層リンパドレナージュを中心とした身体を美しく健康的に整える施術。
「心地よい暮らし」を切り口に、心と身体の双方から健やかに日々を愉しむ提案をしています。

2014-08-25 | Posted in 着物・浴衣, 日本のことNo Comments » 

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