友枝昭世・厳島神社観月能

厳島神社で、秋の月夜に行われる観月能。
人間国宝でもいらっしゃる友枝昭世さんがシテ(主演)を務められての開催。
今年で18回目になるのだそう。

周囲に毎年通っている方々がいて、その素晴らしさはよく聞いていたので、私も一度は行ってみたいと思っていました。
念願かなって、今年、観に行くことができました!

あいにくの雨予報で、お月様が姿を見せてくれることはなかったのですが、なんとか降らずにそのままの能舞台での開演となりました。(雨の場合は別会場になってしまうのです)

夜の厳島神社は、日中とはまた違う表情。

桟敷席からは、大鳥居も眺めることが出来ます。水面に映る影も美しいものでした。

舞台は、火入れの儀式が厳かに執り行われる所から始まります。
神社内の明かりは消され、灯りの揺らぎが夜に映えていました。

人々が静まり返ると、これほどにも波の音が響くのだなぁなんてその存在感に感じ入りました。
そうしているうちに、静かに仕舞がはじまります。
仕舞は、「藤戸」と「玉の段」2曲。

そしていよいよ友枝昭世さんの能「杜若

あらすじ
旅の僧が、在原業平が東下りの際に和歌に詠んだことで有名な杜若の名所、三河[みかわ]の国、八橋で、見事に咲き誇る杜若を眺めていると、里女に出会います。その女は、杜若の花の精でした。杜若の精は在原業平と二条の后の形見を身に着け、舞いながら業平の数々の恋物語を語ります。

「伊勢物語」の東下りの段に出てくる「かきつばた」の歌。
(かきつばたの五文字を句頭に詠んだ歌)

からころも着つつなれにしつましあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふ

在原業平が八橋で詠んだこの歌が謡の中にも出てきます。
(古文の教科書に出てきましたね。)

後半の、杜若の精の舞が業平の初冠をかぶり、高子の后の唐衣を纏っての舞が見どころ。
植物の精であり、業平であり、高子であり、歌舞の菩薩の化身であり・・というイメージが幾重にも重なる中性的で美しい姿で舞い続けます。

舞の途中から雨が降り始めたのですが、雨でうるおった空気と雨音が幻想的な世界をさらに深めているように感じられました。
そしてクライマックスに向けていよいよ舞が激しくなるのに合わせるかのように雨が激しくなり、雨のビートと笛・鼓の演奏、謡が見事に合わさっていて、不思議な神々しささえ感じました。

自然と一体になった中で生み出された一夜限りの舞台。
とても幻想的で終わったあともしばし夢心地でした。
(うっとりという言葉は、こういう時に使うものなんだなぁなんて思っていました)

始まる前には、海底の砂が見えていたのですが、潮が満ちてくることで、終わることには完全に海の上に浮かぶ能舞台となっていました。

ときの移り変わりをこうして感じられるのは不思議ですね。

なんとも素敵な夜となりました。

 
【第18回 友枝昭世厳島観月能】
火入れの儀
仕舞
「藤戸」出雲康雅
「玉の段」粟谷能夫
地頭:長島茂
能「杜若」
シテ:友枝昭世
ワキ:森常好
笛:一噌隆之 小鼓:横山幸彦 大鼓:國川純 太鼓:前川光長
地頭:香川靖嗣

 

 


嬉しくってニヤニヤのワタクシ。
七宝模様の小紋に扇の帯を合わせてみました。

 

小俣荘子(omata shoko)
クラシノキカク 代表 / ディレクター・コラムニスト・施術家
衣食住にまつわるコンテンツの企画・ディレクション。頭蓋矯正と深層リンパドレナージュを中心とした身体を美しく健康的に整える施術。
「心地よい暮らし」を切り口に、心と身体の双方から健やかに日々を愉しむ提案をしています。

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